あとは、頭痛に負けないように頑張るだけ、だ。


そして、今度は、ちゃんと応えてあげたい。

そして、あのときのようなことは、一度きりなのだ、と。
自分自身にもまだ期待出来るのだ、と。



証明したい。





その日、栖栗は追い込みも兼ねて一晩中、勉強した。

電気は消えなかった。






「それじゃあ、テスト配るぞー」


松永は、相変わらずぽっこりと出ている腹を揺らすと、テスト用紙を手際よく配っていく。

が、枚数を数えるために指を常に舐めているところを、生徒たちはじっとりとした目で見つめていた。

とはいえ、、いざテスト用紙が配られると、途端に顔は緊張で歪む。

何故かといえば、この一週間、松永にプレッシャーを与え続けられていたせいだった。

ホームルームは、必ずテストやら進路の話で持ち切りになるし、過去に有名校へ進学していった生徒たちの名前、そして彼らのヒストリーを永遠と語る始末。