小さな公園には、錆びてやや劣化しているブランコ、シーソー、ジャングルジムがある。
そして、砂場を見渡せるような木製のベンチが二つ。
ベンチには、三十代前半の女性が二人いて、視線の先には砂場がある。
そして、それにつられるようにして英も、砂場を見る。
そこには、無邪気に砂の城をスコップで作っている三人の子供たちの姿があって、とても微笑ましい。
とはいえ、子供たちが作るそれはお世辞に砂の城とは言い難いのだが。
だけど、きっと本人たちは城のつもりで懸命に手を動かしているのだろう。
目標のために頑張っている姿は、幼いながらに考えさせられる。
「お兄ちゃん!」
三人の内の一人が、英に声をかけた。
髪を二つに束ねている少女は、にっこりと笑いながら英を見上げている。
「‥え」
英はやや動揺しながら、手も服も、顔までも砂やら泥やらで汚れてしまっている少女へと視線を落とす。
「一緒にお城作ろう!」