目が覚めたら、辺りはすっかり明るくなっていた。

窓は開けっ放し、電気は点けっ放し──寝癖でボサボサになってしまった髪をそのままに、ぐるりと部屋を見渡した栖栗は、虚ろな目で状況を理解すると勢いよく立ち上がる。

口をぱくぱくさせながらも、勢いよく窓を閉める。

スズメの可愛らしい泣き声と太陽の日差しが、もう朝なのだということを物語っていた。


「また、寝ちゃったのねっ‥ふえ‥っ」


栖栗は、がっくりと肩を落とし眉を顰めると、体をふるりと震わせて勢いよく──


「っくしゅん!!!!」


くしゃみをしたのだった。

ずず、と鼻をすするといつも同じ時間にセットしている目覚まし時計がけたたましい音を鳴らす。


「えぇい!」


バシッと、半ば八つ当たりをするかの如く、目覚まし時計をはたくとすぐに静かになった。


が、


「ふえ‥っ」


部屋には、栖栗の親父くさいくしゃみの音が響き渡った。



七時半。


いつものお迎えの時間ぴったりに市川家に訪れた英は、明らかに不機嫌そうな栖栗を見て、顔を引きつらせた。