不快に思われたら、堪らない。


それに今日は、勉強を教えに来ているのだ。

断じて、遊びに来たわけではない。


栖栗は、部屋に入ると、正方形のクリアテーブルの脇にスクールバックを投げ、向かい合わせになるように座布団を置く。

そして、空気を入れ替えるため、窓を開けて網戸にした。

すると、爽やかでどこかひんやりとした風が、ふわりとピンク色のカーテンを揺らし、そして英の頬をそっと撫でた。

夏とはいえ、夕方になれば、まだ涼しい風が入ってくるようだ。

英の部屋はあまり風通しがよくなかった。
だから、こういった風が、窓を開ければ入ってくるということは、とてもうらやましいことだった。


「好きなとこ、座っていいわよ」

「どうも」


英は軽く会釈して窓際に座ると、栖栗は向かい合わせになるように座布団の上に腰掛けた。

そして、先ほど投げたスクールバックから英語の教科書、ワーク、ノート、筆記用具を手早く出し、テーブルに並べていく。