パックのコーヒー牛乳をちゅうちゅうと吸いながら、群がる生徒たちを指差す。
隣りにいた瞳は、指差された方を見つめながら、朝の出来事を思い出しつつ苦笑いを漏らした。
「‥き、期末テストの日程、だよ」
「テストですって‥?」
そんなの聞いてないわ!
とヒステリックに栖栗が叫ぶと、朝のように、また生徒たちの視線が彼女に集まる。
瞳は、穴があったら入りたいと言わん許りに顔を真っ赤にさせ、俯いてしまった。
何かを破壊したい衝動に駆られながらも、栖栗は眉を顰めた。
手に持ったパックはみるみるうちに潰れていき、ストローからはコーヒー牛乳が溢れ、手を伝う。
考えてみれば、中間テストが終わって約二ヵ月、まともに授業に参加した記憶がない。
大抵は、暑いから、と仮病を使って保健室へ行くか、屋上へサボりに行くか、寝ているか──あるいはノートに落書きをしているかだった。
だから、見返すノートもないし、これ見よがしにアンダーラインが引かれた教科書だって、ない。
けれども、栖栗には自信があった。