少女の隣りに座る、メガネの少女は、もしかして自分なのでは、と、オロオロしていた。


「特に‥‥市川は、授業中よく寝ているそうだからな~」


生徒たちの視線が一斉に、栖栗に集まる。

けれども、彼女は、机に突っ伏したまま、反応はない。

どうやら、朝からまた、寝ているらしい。

松永は、すぅっと息を吸い、酸素を肺に取り入れる。

まるで、それが合図だったかのように、生徒たちは一斉に、そしてこっそりと耳を両手で塞ぐ。



「気張ってやらないと、後々苦労するぞ!!!」




松永の声が、教室に響いた。




それでも少女はまだ、一人静かに寝息を立てている。

松永の怒鳴り声に一人反応が遅れた瞳は、頭を抱えたまま、しばらく動かなかった。





昼休みになる頃には、教室の掲示板に、期末テストの日程が貼り出されていた。

メモを取ったり、携帯電話で写真を撮ったりで、掲示板の周りは紺と黒がうじゃうじゃしていて、栖栗は怪訝そうにその光景を見つめていた。


「‥アレ、は一体何なの」