「「「キャー!!」」」
「‥え、?」
神妙な雰囲気だった筈の入学式が、生徒会長一人現れただけでまるでアイドルのコンサートのように賑やかになる。
クラスメイトたちもその騒ぎに便乗するかのように、頬を染めながらきゃあきゃあと騒ぎ立てるものだから、栖栗はきょとんとしながらその当事者を凝視した。
もちろん、何で先生方は注意しないのかしらと思いながら。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます」
生徒会長は甲高い女子たちの歓声には慣れっこなのか、気にも止めずに挨拶を始めた。
そうして、うむ、と栖栗は頷いた。
彼は中性的な顔立ちをしていて、周りから見ればそれはカッコ可愛いの部類に入る人間だった。
あまり目立たない程度に染めてある髪の色は、紅茶を思いおこさせる。
目は大きく、鼻はすっきりしていて、体はそれなりに筋肉質──それこそマンガから飛び出してきたような、男だった。
「新たな生活に不安もあるでしょうが、充実した毎日になるよう、祈っています」