「私もね、自分で言うのも何だけど、目は大きい方なの」

「‥‥‥」

「でもチワワの方が上だったわね」


再び歩き出す栖栗。

そんな彼女の背中を見つめながら、英はホッと安堵した。

怒っている、と思っていたからだ。

本人が言い出したことはいえ、あんなに待たせてしまったというのに。

それなのに、あの自己中心的な栖栗からは、自分を咎めるような言葉は一切なかった。


そのことに関しては、少しだけ、嬉しくなった。