放課後、クラスメイトたちが帰っていく姿を横目で見送った栖栗は、朝のように机に突っ伏していた。
さすがに七時間授業に参加することは、体力と気力がいる。
実の所、午後からは授業をサボり、また屋上へ行く予定だった。
けれど、休み時間の度に瞳が話しかけてくるものだから、すっかりその機会をなくしてしまったのだった。
強引に彼女を押し退けることもできたのだが、嫌な気はしなかったから、そのまま話に付き合った。
栖栗は、この一日で瞳の全てを知った気がした。
ペットにするのもいいかもしれないと思ったが、さすがに気は進まず、その考えは浮かんで消えていくだけで。
「‥‥‥」
段々と、グラウンドが賑い始めた。
どうやら、部活動が始まったらしい。
程よい雑音、窓から入る心地よい風、それは睡魔を誘うには十分すぎるくらいだ。
少しずつ、瞼が降りていく。
──ああ、
放し飼いにしたペットは、いつ、戻って来るだろうか。