──こんなことなら、もっと勉強すればよかったんだ
栖栗は教室までの廊下を歩きながら、そんなことをぼんやりと考えていた。
どうして、もっとあのときこうしておかなかったんだろう。
ああすればきっと、落ちることなんてなかったんじゃないだろうか。
後悔することは次から次へと出てきた。
一度、嫌だと思ってしまうと、今歩いているこの廊下も窓から見える中庭も騒ぐ声も、全て不快に思えてしまうから不思議だ。
教室の中には既にたくさんの生徒たちがいて、携帯のアドレスの交換をしたり、自己紹介をしたりと新たな生活をエンジョイしようと自ら動きだしていた。
栖栗もいつの間にかその輪に入れられ、ホームルームが始まるまでには、アドレス帳にたくさんの名前とアドレスが登録されたのだった。