学校に着いたのは、二人が予想していたよりも、早い時間だった。

何も喋らず、ただお互い無心になって歩いていただけだったから、というのが一番の理由だろう。


「何だ‥一番のりだったんだ」

「‥よかった、」


残念そうに溜め息を吐く栖栗とは裏腹に、英は安堵の溜め息を吐いた。

何故なら、こんな赤い首輪を着けている姿を見られたら、周りの生徒たちに馬鹿にされるのがオチだと思ったからだ。

大体、この姿で通学路を歩くことすら、恥ずかしかったのだ。
これ以上の羞恥はいくら何でも自分が可哀相でならない。


こんな首輪、早く外してしまおう‥


そう思って、いそいそと両の手を首へ持っていこうとすると、首輪は後ろへポロリと落ち、栖栗の手に収まった。

どうやら、学校の中でまで首輪を着用させる気は、さすがの栖栗でもないらしい。