何せ、重要な用があるとき以外はあまり会わないようにしていたし、それが当たり前に根付いてしまった今では、顔を見ることすら久し振りな気がした。

英にしてみれば、瞳にいつ来てもらっても一向に構わないのだが、今までの自分たち、あるいは、家族たちのことを考えてしまうと仕方がないと思った。

そして何より、瞳の意見を尊重してあげたかった。


とはいえ、“償い”にしては、あまりにも軽すぎるのだが。



「‥とりあえず場所を変えるか」


瞳が、誰よりも周囲の目に敏感なのを英は知っていた。

だから、気を遣ってそう言ってはみたものの──‥


「!あっ‥いい、よ。ここで、っ」


と、瞳にあっさりと首を横に振られたので、とりあえずは、邪魔にならぬように廊下に出る。

窓から入る風がやけに気持ちいい。
三階にあるせいか、吹き抜ける風はあまり夏を感じさせない。

瞳は、先ほどの視線やらウエーブ女子の怖さで速まる鼓動が癒えていくような気がして、ふぅ、と息を吐いた。


「それより、どうしたんだ?」