「お前ならできるって。それに、苦手な英語、オレが教えてやるし」
「‥いいの?」
「一緒に頑張りましょう」
そうして、彼は無邪気に笑って少女の頭を優しく頭を撫でた。
彼が頭を撫でてくれる。
だから、何だか、頑張れる気がした。
力が湧き、気分がみるみるうちに高揚していく。
少女は、それに身を任せたまま綺麗に笑った。
夏の候、それはまるで大輪の向日葵のように。
ふわり、と開け放れた窓から入った柔らかな風が、少女の頬を撫でる。
あまりにも優しいその風は、あの日の大きな手を思い起こさせた。
──あ また、だ ‥