同時刻、栖栗と同様に、英も英語のテストを受けていた。

一問一問を、迅速且つ的確に解いていく。
そして、表の問題を全て解いたところで裏面へ。

が、英はふと顔を上げて窓の外を見る。

昨日、様子がおかしかった栖栗のことが気掛かり、だっだ。

記憶の糸を手繰ってみれば、最後に見たとき、顔が、赤かった気がした。

いつもは引っ張ってでも英を自宅に連れて行く栖栗が、それをせず、追い出そうとしていた。



それは、何故、?











栖栗が、重い頭を動かしてゆっくりと時計を見たときには、開始からもう二十分が経過していた。

視線だけを下へ戻す。

大抵のテストは時間が余るように作られているが、さすがに残り三十分では最後までいかないかもしれない。


白紙のままの答案用紙。


書く音に、シャープペンシルをノックする音。
消しゴムを使う度にガタガタと揺れる机の音。
時折聞こえる、不快に感じてしまう咳払いや、鼻を啜る音。

その音の全てが、栖栗にとってストレスだった。


頭が痛い、打ち付けられる。
気持ち悪い、吐いてしまいそう。


体に力が入らない、動かすのがつらい。



頭が痛い。
一問も解けていない。

一問も、解けない。