補習では、教科担任から日々出される課題をクリアするべく、毎日学校へと足を運ばなければならない。
サボりや媚びてきた場合、その他明らかに不正な行為と見なされた場合は、もちろん、教科担任と担任からのキツいお仕置が待っている。
「‥‥‥」
生徒たちは、それを恐れてか眉間にしわを寄せながら、シャープペンシルをノックして芯を出した。
額には、夏の暑さによって出た汗ではないものが滲む。
そして、シャープペンシルを机に置いて、松永と時計に交互に視線を送りながら開始を待つ。
もちろん、瞳もその一人だった。
高鳴る鼓動を必死に抑えながら、ストレスできりきりと痛む胃を右手で円を描くように撫でる。
瞳はぎゅっと目を瞑り、緊張に耐えつつも、ふと、隣りの席に座っている栖栗を見る。
いつもは、冷静にピンと背筋を立てている筈の栖栗。
だけど、そんな栖栗が、今にも爆発してしまいそうなくらいに顔を真っ赤にして、頭を抱えているものだから、瞳は思わず口を開いた。