「美雪、お酒の席で、心理分析始めてどーすんの!」

鏡に向かってルージュを引きなおしている、怜奈にたしなめられた。

「……」

「気持ちはわかるけど、やけ酒なんて、よくないよ」

「……」

「大丈夫?もう帰る?」

「ううん、へーき」

居酒屋の薄いチューハイを数杯飲んだところで、私はつぶれたりはしない。

一度くらい、可愛く酔って、誰かにお持ち帰りされてみたいくらいだ。

だけど、お酒に強い私は、たいていの男子より先に酔うことはない。

記憶を飛ばしたこともない。

今だって、お酒に酔ってるわけじゃない。

嫌な思い出と、自分に嫌気がさして、誰かに八つ当たりしたい気分なだけ。

みんなも、きっと、知ってる。

ああ、明日はきっと自己嫌悪だ。

でも、今日くらい飲んで飲んで飲み明かしたい……