あたしは大学受験はしない
専門学校へ進学希望だ

十は…知りたい

カナと話しているフリして十を見ていた

十は窓の外に目を向けて
椅子を後ろに倒しながら
前髪を右手でかき上げた

ちらっと見えたホクロが
大人っぽくて

また心臓がドクドクした

「ねーねーって」

カナの話しはなにひとつ入って来てなかった

「ミキマジなの?」

「え?」

「ジュウくん」

「へ?」

「わかりやすいよミキ」

「…」

「あたし降りるわ」

「なんで!」

「1組のヨウコが告ったんだって」

「早っ!」

ヨウコは容姿端麗
言う事なしの女だ
性格は別として…

「アウトだったんだって」

「決めた人いるから無理って冷たく言われたっぽいよ」

「…」

「まああたしはヒロがいるしね」

ヒロとはカナの中学校からの彼氏

あたしもヒロの友達と少し付き合ったんだけど
すぐ別れてしまった

原因は特にない

自然に別れた

だからカナがヒロの名前を出すのは久しぶりだ

「あ…ミキごめん」

「あんね前も言ったけど失恋じゃないし気にしないで」

「うん」