店の前で止まり大きく息を吸う。



何故か隣で啓太も同じ事をしている。



啓太ビビってる?



『さぁ行くぞ!』



なんか心配になって来た。


店に先に啓太が入り私が後に続く。



どうしよう体の震えが止まらない。



啓太が私の手を握る。



二人で顔を見合せ、大丈夫と口にした。



お店には向坂さんはいなかった。


奥にいると言われ、啓太と事務所に入った。



小さな部屋に机と椅子があり、そこに向坂さんはいた。



向坂さんは私に気がつく、『あれ今日は彩夏来る日だった?』



違うんですと言おうとしたら啓太が、



『あの彩夏の事で話しがあって、俺は小沢啓太と言います。


彩夏と俺は付き合ってます。


色々ありましたが、もう一度二人でやって行く事に決めたんで、


悪いけど彩夏の事は諦めてやって下さい。』



啓太が深く頭を下げた。



「向坂さんの気持ちに答えられなくてごめんなさい。

私は啓太が好き。


啓太じゃないと駄目なんです。」



向坂さんがふと笑った。