その夜。


またベランダから屋根にあがり星空を見上げていると、暗がりから口笛の音が聞こえた。


袋を振り回す音も一緒に聞こえた。
しぃちゃんがやってきた。


「しぃちゃん!」


と立ち上がると、外灯の下に腫れぼったい笑顔のしぃちゃんが現れた。


「みかん。うちのお父ちゃんから。」


ニカッと笑い、数分してから私の部屋のドアを開いた。


「しっかし、アンタの親は呑気なくせに目ざといねぇ。フラれたのか〜って茶の間で止められたよ。」


しぃちゃんは笑っていた。