8階建てマンションの最上階。角にある、ひっそりとした3LDKの部屋。
リビングには椅子が二つ向き合っている白いテーブルに、やけに大きな液晶テレビ。
この部屋には妙に浮いているふわふわの大きなダブルベッドを置いてもまだ広々とした、何もない寝室。
客間が一つに、鍵の掛かった隅っこの部屋が一つ。
全体を白とシルバーで統一された壁は、更に寒々しさを際立たせる。
生活感がまるで感じられない、女一人で住むには無駄に広過ぎるこの部屋が私の家。
そして私はいつものようにベランダへ出て、徐々にネオンの光を帯びて活気づき出す歌舞伎町の町並みを見下ろしながら一人煙草をふかす。
今日もこの街は眠らない。