寒さが身にしみた。
歯がガタガタ鳴った。

バイトを終えた芳樹が走ってきた。

「店長から聞いてさ。
ちょっと早くあげてくれたけど
どうした?早くないか?」

「あのね、ホテルのディナー行けない。」

「どして?」

私はコートを開いて
ドロドロの服と
帽子をとってベタベタの
髪の毛をみせた。


「どした?こんなになって!?」

静かな口調が怖かった。

今さらながら
惨めさがこみあげた。

嗚咽と寒さでガタガタ震えながら
やっとのことで
状況を説明した。


「寒いよ…」

芳樹は手をひいて
家に連れていった。