「もう、大丈夫?」

「ごめん。かっこ悪いとこ見せて
死んでしまいたい・・・。」

「かっこわるくないよ。
愛しくて儚げでキュンとした。」

「ほら、男としての威厳がないだろ?」


素良はまだ胸から離れない。

「もうおしまいだよ。
恥ずかしいんだから、幼稚園児だと思って
抱きしめたんだから
高校生に戻ったなら
もうダメよ。」

「とっくにもどってる。」

そう言って無防備な
胸の先を口に含んだ。


「も~やめて、そんな気分じゃない。」

「俺、赤ちゃんだからね。」

「ちがう、赤ちゃんは
そんなやらしい吸い方はしません。」

「何?ママは感じてしまった?」


「も~!!バカバカ!!」

私は態勢を変えて
馬乗りになって素良を叩いた。


「ごめん。ごめん。
だって、俺男だし・・・
こんな魅力的な女に発情しなかったら
男失格だもん。」

「魅力的じゃない…。
芳樹も素良もあの人を抱くじゃない…
あの人を愛してるんだ。
私なんて、気まぐれな
おもちゃみたいなものでしょ?
あの甘えた声が耳について離れない……
私にはあんな声で
男を誘えない……」


「俺の話よく聞いてなかった?」

素良は体を逆にして
私の上になった。


「俺は、おまえのことを
愛してるんだって気がついたの!
わかる?鈍感!」


「え?」


素良の唇が重なった。
熱い唇が私を
だまらせた。


いつしか素良の唇
細く長い指に夢中になっていた。