きっと、今誰かにあってもわからないだろう・・・

歩く私は別人だった。
千鶴みたいに
きれいに化粧された顔は
すっぴんとは天と地くらい違った。


顔がきれいになったら
洋服がダサく感じた。

お財布を確認して
新しい洋服を買って着替えた。


それから、伸びきった髪の毛をカットして
ブローしてもらった。


千鶴みたいにクルクルとアイロンで
巻いてもらった。


美容師が
小さい声で
「アドレス教えてほしいんだけど。」と言った。

私は笑顔で流した。
何度もチャレンジする美容師が可愛く感じた。

なんだろう
自分に自信があったら
こんな駆け引きもできるんだ

こんな笑顔で挑発もできる

太っていることだって
魅力的に思える


きれいでいる
自信っていうのはこんなに人を
輝かせるんだ

感動した。


素良に会いたかった。
きれいな私を素良に見せたかった。


歩く私を見る男の人の目が違った。



素良に電話した。

「素良?今日会いたいんだけど…」

「…ごめん、今日は都合悪い。
また連絡するよ。」

あっけなく切られた。

  撃沈・・・・




切られた電話を見つめていた時
向こう側から
素良が歩いてきた。


「素良!!」