でも・・・

もう、きっと昂樹は戻ってきてくれない・・・。

これでいいんだ・・・。

このまま、過去の思い出として忘れればいいんだ・・・。

そう・・・後はただ、忘れるだけ・・・。

私たちは・・・終わったんだ・・・。



沈黙のなか、美沙がこう言い残した。

「今日の、午後1時に、青空公園で待ってるから。」

ガチャ。


「電話・・・切れちゃった・・・。」

私はまだ、昂樹との可能性を信じていた。


やり直せる事・・・やり直せる事だけを信じて・・・。


「紗実ぃ!来てくれたんだね・・・。良かったぁ・・・。」

美沙が一筋の涙を流した。

どうして泣いているの・・・?

「何で泣いてるの・・・?」

「私・・・宏なんか好きじゃない。本当は・・・本当は・・・」

「イヤッ!何も言わないで・・・。これ以上、私を苦しめないでよぉ・・・っ!」

私はハッキリと自覚した。





美沙が・・・昂樹を好きだって事を・・・。


そして、昂樹と













付き合っていることを・・・。

「今日は・・・帰るね・・・っ!」

私は家に帰ってすぐに、洗面所にいって、手首にカミソリを当てた。

そして右へと、ゆっくり・・・ゆっくり引いた。

「死にたくなんかない・・・死にたくないのに・・・!」

血が、肘まで滴ってきた。

「うっ・・・うわぁぁぁん・・・っ!昂樹ぃ・・・。助けに来てよぉ・・・。」

私はやっぱり、いつも昂樹に助けられていた・・・。

昂樹が居なきゃ・・・ダメなんだね・・・。