美沙は、宏のことが好きなんだ―。
「紗実っ!こっち来てみ。」
なんだろ?なんかくれるのかな?
「んー。なに?」
昂樹は自分が聴いていたipodのイヤフォンのかたっぽを私の耳につけた。
そして私の肩を抱き寄せながら、この歌を歌ってくれたんだ―。

『君と過ごす初めてのX'masdey』

『歩く人並み掻き分けて行こう』

『今年は一人じゃないX'masdey』

『平凡だけど君とのメリーX'mas』

昂樹がそっと私のおでこにキスをした。そして―。

「紗実・・・。今年のX'masは俺と2人きりで過ごさねぇか・・・?」

「昂樹は私でいいの・・・?」

「紗実じゃなきゃダメなんだよ。」
昂樹が私に告白してくれた。今でもまだ昂樹の唇の感触がおでこに残っている。
「目ぇつぶって。」

「んっ・・・。」

なんだろう?唇にそっとキスをしてきた。
甘く、とろけそうなキス・・・。
「目ぇ開けてみ?」

私の左手の薬指には、シルバーのハートの指輪が―。

「た・・・だいま・・・」

あっ!美沙たちが帰ってきた!

「美沙ぁっ!あのね・・・っっ!」

私の目の前には顔はアザだらけ、足からは血が出ている、美沙と羅琉のすがたがあった―。

明らかに何かあったよう―。

私の目の前は痛々しい光景が広がっていた。

美沙と羅琉は小刻みに震えている。

「どう・・・したの?」
昂樹はその後ろにいた宏と翔をみて、開いた口がふさがらなかった。