彼の綺麗な、横顔を見つめる。

いつだって、どこか遠くを映しているその瞳。


彼は今、何を考え、何を想い、何をーーーーー見ているのか。



心臓が、ギュッとして。思わず、胸のあたりを押さえていた。



「いるならなんか言えよ」


どのくらい無言のまま、見つめてしまっていたのだろうか。

おそらく、それなりの時間だったに違いない。わざわざ彼がそんなことを言ってくるぐらいには。


彼はとっくに気づいていたのだろう。そう思うと、途端に恥ずかしさがこみ上げてくる。

今が、夜でよかった…。絶対に、顔が赤くなっている。


「座れば?」

その言葉に抵抗することもできず、少し開けて…ゆっくりと彼の隣へと腰掛けた。

彼はその様子を、目で追っていた。

私が腰を下ろしたところで、顔を正面へと戻すかと思えば、そのままあたしを見つめてくる。



今度はあたしが、どうしたんだろうと思う番だった。

顔に何か付いているのだろうか?
それともまだ、顔が赤いのだろうか?


すると、蓮見くんの手が私の髪へと伸びてきた。そして、男の人とは思えないような綺麗な指先が触れる。


ただ、触れて見つめるだけで、何も喋らない。


もしかして、そんなに似合ってないんだろうか?自分的には結構気に入っていたのだけど……。

たしかに、女の子にしては、少し短いかもしれないけれど。






「あいつ、どうしてほしい?」