「良いなぁ・・・」

隣から呟きが聞こえたので

横を向くと凪斗は前髪を触っていた。

彼が照れた時にするクセだ。

薫子は、猫を凪斗に渡して言った。

「してみて」

「え?」

「猫、嫌がるかも」

「猫?俺がしたいのは薫さんです」

「あぁ・・・」

薫子は、間の抜けた声で返事をした。

考えていたのに、実際そうなると

口の中が渇くのを感じ

自信もないので肩をすくめていた。

すると、彼の手が薫子の肩に乗せられ

ゆっくりと顔を近づけたので

薫子は少し顎を上げた。

彼の唇も渇いていて

朝のキスと変わらなかった。