薫子が彼の隣に座り、猫を撫でると

今度は薫子の膝に乗ってきた。

「私の方が良いみたいよ」

「俺は、薫さんの方が良いです」

そう言って、肩を引き寄せた。

「ウフッ!凪斗って全然違うね?

 私が思ってたより慣れてる感じ」

「慣れてるって女の人にですか?」

「うん」

「いや~、いっぱいいっぱいです。

 心臓飛び出そうなんですから!

 頼りないって思われたくないから

 頑張ってるんですよっ!」

彼は、自嘲気味に笑ったけど

私の心臓が凪斗の心臓より

倍の速さで暴れている事を

彼は知らないんだろうなぁ。

「そうなんだぁ・・・

 私もドキドキしてるけどね」

薫子は頬を緩めた。