☆ ☆

薫子は、彼の真っ直ぐな気持ちを

受け止めようと思った。

不安はあるけど、少しずつ、少しずつ

彼の気持ちに答えよう。

そして彼も私の気持ちを

真っ直ぐに受け止めてくれると思った。

身体を離すと、急に恥ずかしくなり

目を合わすことが出来なかった。

取りあえずテレビをつけ

途中だった朝食を食べ始め

二人とも無言で箸を動かしていた。

それが終わる頃、薫子が声を上げた。

「あっ、猫に餌あげてない!」

「家出しますよ?」

「イヤだぁ、凪斗に泣かされたら

 慰めてもらうんだからぁ!」

「俺も薫さんに怒られたら

 慰めてもらいます!」

二人は顔を見合わせ、笑い声を上げた。