「え?キスは?」

「薫さんは好きな人としかしないって

 言ってたのに、出来るよ、って

 言われてショックでした」

彼の声は、虚ろで少し掠れていた。

「みんな分かり難いなぁ?」

「すいません」

「私、年上だよ?」

「知ってますよ」

彼の気持ちは嬉しかったけど

やはり歳の違いが気になるし

最大の難関が待ち受けている。

年上の私が処女だと知ったら

どうするのだろう。

離れていってしまうかもしれない。

薫子は、言いようのない不安が心を駆け巡り

上手く言葉にすることが出来なかった。

「でも・・・ごめん・・・私・・・」

その声は、頼りなげで

折れそうなほど細かった。