凪斗が、テーブルをトントン!と叩き

柔らかな眼差しを向けた。

「心ここにあらずって顔してますよ」

「あっ・・・メール終わった?」

「帰った方が良いですか?」

「ううん、どうして?

 そんな事ない、そんな事ないけど・・・」

その後の言葉が出てこなかった。

「俺にもブラッシングやらせて下さい!」

そう言って、隣に腰を下ろしたので

薫子は無意識に身体をよけてしまった。

「え?」

彼の声と息が混ざったような音が漏れ

薫子はどうしていいか分からず膝を抱えた。

不自然な沈黙があり

凪斗は大きく息を吸い込み、そして吐いた。

「俺、薫さんが好きです」

彼が薫子の背中に声をかけた。