「チック、どこにあるの?暗くて分かんない」

「ずっとずっと奥、つきあたりにあるよ。青く光ってるからすぐ分かるよ」

青く光るチックの欲しい夢、いったい何なのだろう。私には想像もつかない。



やがてトンネルは終点になった。そしてそこには、チックの言う通り、青く輝く何かがあった。

(でも、ちっちゃいなこれ。これならチックでも持ち出せたじゃん)

私はそう思いながら、青く輝く小さな何かを手に取った。ちょうどビー玉くらいの大きさだった。

「チック、あったよ!今からそっちに戻るね」

私は狭くて方向を変えることが出来ないトンネルを、赤ちゃんのハイハイの巻き戻し映像のようにバックして行った。

すると何歩か進んだところで、私の足はあるはずのないものに当たった。


出口がふさがっている!

私の後は、砂によって完全にふさがれていた。

「チック!穴がふさがっちゃったよ!出られないよ!たすけて!」

私はパニックになってトンネルの中で叫んだ。


「怜奈ちゃん、それでいいんだ。もうこっちに戻ってきちゃダメだ」

土の向こうからチックの声が聞こえた。

土はチックたちがかぶせたのだった。


「僕の夢は、今かなうよ。怜奈ちゃん、その小さな青い玉を、しっかり握っていて」


「どういうこと?さっぱり分かんないよ!」


「君には、君を愛する家族がいる。これから君のことを真剣に愛してくれる男性もきっと現れる。君の未来は、まだまだ無限に広がっているのさ」

チックがそう言ったあと、私が握っていた玉が突然目も眩むほどに真っ青の光を放った。

私は気が遠くなり、やがて意識を失ってしまった。