アスカ様の意味深な言葉に、セイヤ王子は眉をしかめ、彼女を見下ろす。

「吸収……ってなんだ?」

「えぇぇ」

「痛っ!」

「あッごめぇん」

アスカ様が驚いた拍子に、彼女の顎は王子の腕に食い込んでいた。

マジ痛てぇ……。

「まぁぢ、ごめんねぇ許してぇ」

アスカ様は泣きそうになりながら、王子の全治三日の腕を撫でた。

キ、キモ!!

「大丈夫だから…触んないで」

アスカ様からジワリと離れる王子。

…そろそろ我慢の限界が迫っている。


アスカ様は「うん…」と弱々しく頷いた。

筆で書いたような眉をハの字にして。

その顔を見た王子は………

「うげっ…!!」

吐き気に襲われた。

想像してみてほしい。
ムキムキマッチョのおさげの女の子が、瞳をウルウルさせながら………いや、これ以上は辞めておこう。

「え?」

「いや、なんでもない」

もう無理だ……。

体力的にも、精神的にも…。

誰か助けてくれ…!!


「王子……」

二人の様子を部屋の片隅から見守っていたジィヤは、このたった数分間で王子がゲンナリとやつれたように見えて、なんとも言えない気持ちになった……。