その一言に、シュン…としていた明日香様の表情が、一瞬にして凍り付いた。

「………なんって…?」

ゴゴゴゴゴゴゴッ…

ただならぬオーラを醸し出しながら、アスカ様が問う。

地響きのようなドスの効いた低い声からは、もはやブリッコのブの字も感じられない。

やっと気持ち悪い化けの皮剥がして本性を現しやがったな、バケモノめ。

王子は怯むことなく、今にも噛み付くような勢いで吠え続ける。

「マジその顎キモすぎなんだよ!!少しは自覚しろ、ブス!!」

ゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴ……

「おい聞いてんのか!!顎女!!」

ブチッ。

「ゆ……い。
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないぃいぃあぁぁああぁぁぁあああぁあぁぁぁあぁぁああぁぁああうぅううぅぉぉをおぉおぉぉおぉおぉぉぉおおおぉぉおッッ!!!」

ただならぬアスカ様のヒステリックな雄叫びが、四角い部屋にグワングワンと響き渡った。

ガタガタガタッ…とマグニチュード8くらいに畳が揺れる。

アスカ様の全身から、ジェット噴射並の強力なオーラが放たれる。

「ヒョェエェェェエェエッ」

「ジッ…ジィヤ!!」

部屋の段差に飾られていた有難い坪や、壁に掲げられた『漢』と書かれた掛軸が、ガシャンガシャンと派手に割れていく。

王子とジィヤは畳にへばりつくように身を屈めて、耳を塞いでいた。

なんだこれは!!
アスカ大震災か!?それともヲトメ大戦争なのか!?