「……なぁ……もしかして俺達……かなりヤバいんじゃないのか」
ジル、セリア、そして俺と、最後尾を歩きながらそう小さく問い掛ける。
「……そうかもな」
歪んだ嘲笑を浮かべるジルから、期待した通りの……いや、違っていて欲しいと願っていた言葉が返ってきた。
「大丈夫だって!!このまま真っ直ぐ進めば出られるよ!!」
そう言ってセリアは俺を振り向くと、少し引き攣った笑みを浮かべた。
その笑顔に……只ならぬ不安と絶望を覚えた。
……迷った。
俺達はすでに二日も、この深い森を彷徨い続けている。
この森の尋常ではない位に強い魔物に度々襲われては、死に物狂いで何とか退け、また森を彷徨うの繰り返し。
つねに体が重く体力の消耗も激しいのに、いくら休んでも体力は全く回復しない。
何か特別な力が働いているのか、セリアの魔法も全く使えなくなっていた。
「……も、もうダメだ。ちょっと休もう」
そう言って崩れる様にその場に座り込むと、二人は何も言わずに俺の傍に腰を下した。
木に背中を預けたまま、ゼイゼイと荒い呼吸を繰り返す。
………誰も話し出さない。
そんな無駄な元気など残ってない。
ジルは眉間に彫刻刀で抉った様な深い皺を刻んでいるし、セリアは茫然とどこか遠くを見つめている。
……なんで……こんな事に……
ギュッと膝を抱えたまま、二日前に森に足を踏み入れた時の事を思い出す。