しつこく尋ね続けたおかげで、ついにリンゴに毒など入っていない事を聞き出した。
……なんて酷い奴なんだ。
せっかく食べたリンゴを危うく吐き出す羽目になるところだった。
青年は馬鹿にした様に笑いながら、壁に寄りかかると俺と同じようにリンゴを齧った。
二人でリンゴを食べている間に質問攻めにしたが、返ってくるのはお決まりの「ついてくれば分かるさ」の一言だけ。
話しているうちに何となくだけど……悪い奴ではないかもしれないと思った。
……なぜそう思うのかは分からない。
「そろそろ行くか。ここであまりゆっくりしていても仕方がない」
そう言って青年は立ち上がると出口へと向かっていく。
「信用したわけじゃないからな!!」
その言葉に青年は俺を振り向き小さく笑うと、そのまま倉庫から出ていってしまった。
「……ちょ……待てよ!?」
慌ててリンゴを抱えられるだけ抱えると、急いで青年の後を追った。