(……ロイ)

誰かに呼ばれた気がしてそっと目を開くと、眩しい朝日が俺を照らしていた。

寝転んだまま窓の外を見ると雲一つ無い青空が見え、何処からか小鳥の囀りが聞こえる。

……何か夢を見ていた様だが思い出せない。

重たい体を引きずりながらベッドから這い出ると、フラフラしながら鏡の前に立った。

少し汚れた鏡に映る自分の姿。

漆黒の髪に細身の体。

右の肩には文字の様な『痣』がある。

そして酷く不釣り合いな……翡翠の瞳。

「……俺は……どうしたらいい」

毎朝繰り返される問いかけ。

……もちろん返事は返ってこない。

鏡に映った自分の姿を睨みつけたまま小さく溜息を吐いた。