乗車券を買い列車に乗り込むと同時に、ホームに発車を告げるアナウンスが響いた。
列車はかなり混み合っていて、人混みを掻き分ける様にして乗車券に記入されている席へと向かう。
列車の席は二人ずつ座れる座席が向い合せになっていて、四人ずつのブロックに分かれている。
「ここだな!!」
乗車券に書かれているのと同じ番号の座席を見つけると、そこにはすでに一人の乗客が座っていた。
色素の薄い茶色の髪に、同じ茶色の《左目》
怪我をしているのか、《右目》には白い眼帯がされている。
年は……十二、三歳くらいだろうか。
黒い短パンとブーツを履いたその少年は、一人きりで座席に座り窓の外を眺めていた。
「失礼」
そう言ってジルが通路側に座る少年の隣に腰を下す。
その正面の席にセリアと俺が座ると同時に、アナウンスが流れ、それから列車がゆっくりと動き出した。
列車は徐々に速度を上げながら、次第に高度を上げていく。
空に向かって伸びていた線路が途切れ、しかし何も無いその先を列車は華麗に飛んでいく。
「うわ~!すっげぇ~!!」
興奮し子供の様に瞳をキラキラと化か焼かせながら、窓にベッタリと張り付く。
あっと言う間にアルテイルの町が見えなくなり、窓の外には青い空と白い雲が見えた。