岸に着き船を降りると、真っ直ぐにスカイトレインの駅へと向かう。

スカイトレインの駅は乗船所の近くにあったため、すぐに見つける事が出来た。

しかし駅の入口は閉まっていて、明かりも消えている。

壁に貼ってある時刻表を確認すると……どうやら今日はもう走らないらしい。

「……明日だな。今日は宿屋を探そう」

そのジルの提案で宿屋を探す事になった。

駅の近くで宿屋はすぐに見つかったが満室らしく、結局違う宿屋を探す事になってしまった。

どこも混んでいる様でフラフラと何軒も宿屋を巡り、結局、駅から遠く離れたボロボロの宿屋のツインルームを一室だけ取る事ができた。

ヨボヨボのじいさんの居るフロントで受付を済ませると、これまた古い形の鍵を受け取る。

部屋へと続く廊下は薄暗く歩く度にギシギシと嫌な音が鳴る上に、掃除もあまり行き届いていないらしく、所々にクモの巣が張っていた。

「……だ、大丈夫なのか?……ココ」

不安になり辺りをキョロキョロと見回しながら、身を竦めたままゆっくりと恐る恐る廊下を進んで行く。

「一晩の辛抱だ。我慢しろ……ん?……ここだな」

目的の部屋を見つけたジルが鍵を開け、そっとドアノブを回す。

するとギィッっと耳障りな音が薄暗い廊下に響き、それからゆっくりと扉が開いた。

それと共に優しい光が廊下を照らし、その光に少しだけ目を細める。

「……案外、中は普通なのね」

そう言ってセリアはホッと息と吐くと、まじまじと部屋を見回した。

思っていたよりも部屋の中は明るく、汚れた感じはしない。

ベッドもふかふかの白いシーツが敷かれていて綺麗に整っているし、部屋の中には塵ひとつ落ちていない。

窓もピカピカに磨かれているし……普通に綺麗な部屋だ。

三人である程度部屋を物色すると荷物を置き、特に話す事もせずにそれぞれ自由な時間を過ごした。