夜も更けた宿屋の食堂は、比較的混雑していた。
この町は首都であるメルキアに向かう旅行客や商人達が立ち寄る町らしく、宿屋は広くそしてその界隈は賑わっている。
「首都メルキアに入るにはスカイトレインに乗って入るしか方法は無いらしい」
「スカイ……トレイン?」
ワインのグラスを片手にジルがこれからの説明を始め、大好物のフェルムスープ(メルキア風)から顔を上げた。
「……ああ。空を走る列車だそうだ。メルキアは魔法と機械に長けた国だからな。首都メルキアは高く頑丈な壁に四方を囲まれている特殊な町だ。中に入るにはスカイトレインで上から入るしかないらしい」
「どうしたらそれに乗れるの?」
どうやら甘い物が大好物だったらしいセリアが、五個目のケーキを食べながらジルに尋ねた。
「……お前、ケーキばっかり食いすぎじゃないか?それしか食べてないだろう!?」
そう言ってジルは気持ち悪いモノを見る様に、眉を顰めてセリアを見つめる。
「別にいいじゃない!甘い物が好きって初めて知ったんだから!!今日が初めて記念なの!!」
ジルの冷たい視線にセリアが少しご機嫌を損ね、フイッと顔を背けて皿に残っていたケーキをバクバクと頬張った。