「ぼかっ」 鈍くてでも、鋭い音が聞こえた。 涼を傷つけたくないと、 ずっと俯いていた顔を 思わず上げた。 その途端、 私の身体は、 暖かいものに触れた。 触れられた。 その暖かいモノは、涼の腕だった。 「ッカじゃねぇの…」 悔しそうな声。 「へっ?」 私のマヌケな声。