木漏れ日の向こうに見る明るい空は雲もなく晴れ渡っていた。
河川敷で犬の散歩をしている老夫婦は手をつなぎ、ゆるりとした歩みのままに短い影を引き連れていた。
白鷺が水辺に向かい水面に羽を休めーーせせらぎが軽やかな音を立て、遠くはるかな海を目指して光を弾きながら流れさっていった。


堤防に腰を下ろし川面を見ている僕は、時間を感じることもなく、ただ川風を聞いていた。

小さな町。
どこにでもある、小さな町。

どこにでもいそうな何の変哲もない僕。

それが今の僕のすべて。
特別と言う言葉が欲しい訳でなく、時間に沈み込める現状を、僕は愛してやまなかった。