「……ただいま」

家に着いた俺は、小声で一言呟きながら靴を脱ぎ、家に上がった。

自室に向かう途中、キッチンから硝子が割れる音がした。

「クソ……」


キッチンを覗くと、1人の女がビール瓶や缶ビールと一緒に倒れている。
ほとんどの中身は空のようだ。



「おい。いい加減にしろよな」


……なんて言えない。
言えば、あいつの周りで転がっている硝子の破片が、自分に向かってくるかもしれない。

俺はそこからそっと離れた。

片付けなら、後で良い。