「颯さぁ。今日用事、大丈夫だったのか?今更だけど、何か無理やり居残らせて……」

自転車を漕ぎながら、俺は聞いた。

「んー。ま、大丈夫だろ。ちょっと客が来るってだけだし」

「……それ、マズくない?大事な客だったら……」

「いいんだよ」


街灯の明かりに照らされた颯の顔が、いつもと違っていた。
そんなに会いたくない客なのだろうか。

「……ならいいけど」





小さな川沿いの別れ道。
俺は右、颯は左。お互い、そこから1分弱で家に着く。

「また明日な」
「じゃな」

そう言って、俺達は別れた。