「颯ー?まだー?」

母さんが呼んでいる。


コタローを撫でる手を止め、部屋を出ようとした、その時、ヒラリと机から2枚の数学のプリントが落ち、コタローの前に不時着した。


コタローは、2枚の内1枚の匂いを嗅ぎ、「ワン!」と吠え、俺を見た。


「コタ?もしかして、俺の宿題やってくれるの?」

俺はちょっと期待しながら聞いてみた。


「うん!ボクじつはすうがくがだいすきなんだ!ベクトルとかかんすうとか……」


………ありえん。
コタは相変わらず俺を見続けている。

「てか、今日の宿題って、1枚だけじゃん」