言われたとおりに桂を待つ私は律儀すぎると思う。本当に、修司を待たせて私が荷物持ちに行けばよかった。

…麻由は絶対許さないだろうけど。長い針は9を指している。

「はぁ…。」

「わりいって、謝ったじゃん。」

ため息を付いたら声と共に肩を叩かれた。

全力でびっくりした私はリアルに5センチくらい体を飛び上がらせた。

「かっかつ…!」

「あいつら先行ったわけ?」

「う、うん。びっくりした…」

横に座る桂に若干の距離を取って、もう一度長いため息をついて、携帯を取り出したら、桂に怪訝な顔をされた。

じとーっていう擬音が相応しい感じに、睨まれる私。

「な、何よ。」

「三谷に連絡すんのか。」

三谷ってのは麻由のことだ。

「当たり前じゃん。あんたが来たって知らせないと……」

って言ってるそばから携帯を引ったくられた。

勿論、桂に。

「ちょっ、何すんのっ!」

「没収。」