「え?」


「天体の本が借りたいのです。なので、いいでしょうか」


つい、自分の好きな天体のほうにいってしまったのか。


すみません。


そう謝ろうとして、後ろに振り返った。


少し幼さが残す顔立ち。


二つに縛られている髪。


・・・そして、金木犀の香り。


このこが・・・


ずっと逢いたいと思っていた子だ。


思わず、じっと見てしまった。


「で、借りるのですか?」