「くしゅんっ!」


さみ〜…。

もうすぐ時間は12時になろうとしている。


来ねえじゃん 苺花…。


どうしたんだろ…。






うつむく俺に近寄ってくる
人影を感じた。


かすかな期待をして

顔をあげるとそこには


里沙がいた…。


「ほら 来なかったでしょ?」

「……」

んでこいつがいんだよ。


「夜は冷えるわ。里沙の家近くなの。お風呂くらい貸すわよ?」

「………」


「琉心…帰りましょ?」


「………」


「ねえ琉心?」



無視を続ける俺に

とうとう里沙も黙り込んだ。


「…姉様なら来ないわよ」


…は?

"姉様"?


「どういう意味だよ?」


「だからぁ 姉様は来ないって」


「姉様とか…苺花はお前の姉じゃねえだろ」


ありえねーし。



「黒木苺花…旧姓 水瀬苺花は正真正銘 我が黒木家の長女よ」