甘ったるい女の人の声が、空を呼んだ。


「何でここにいるんすか?」


「偶然保健室に入る空くんが見えたの〜」


「はぁ…えと、次の授業始まりますよ?」


「えぇ〜離れたくない〜」




そんな会話をあたしは花と目を合わせて聞いていた。


「もしかしてあいつ?」


小さな声で花が言った。


花には噂の話をした。


空の敬語、女の人の馴れ馴れしさ……間違いない。


噂になってる人だ。




「空迷惑そうじゃん?」


そう言う花


「恥ずかしがってるだけじゃなくて?」


次はあたしが聞いた。


「ない」


なぜか断言する花