「でもマコト…」
そう口を開いた時には既に、マコトはお会計を済ませた指輪を手に持っていた。
「はい、里衣ちゃん」
マコトは意味を知ってるのか知らないのか、指輪をあたしの左手の薬指にはめた。
「ホントにいいの?」
お店を出ながら、あたしはマコトに言った。
「別にいいよ。ぼくが里衣ちゃんにあげたかっただけだし」
マコトは目を細めて笑った。
その笑顔は、あたしまで連れて口元が緩んでしまうような、眩しい笑顔だった。
「ありがとう」
そう言ってマコトを見上げると、マコトは少し意外そうな顔をした。
「里衣ちゃん、笑った」
「は?」
「里衣ちゃんの笑顔…もう何日も見てないからさ…」
マコトは少し嬉しそうに笑った。
確かに…最近、笑ってなかったかも。